資源枯渇、地球温暖化や大気汚染。環境破壊に伴い、間接的にわたしたちの生活基盤は危ぶまれる。そういったなか、環境への意識は高まりエコに取り組み、サステナブルな暮らしに取り組んでいる。にもかかわらず、それが具体的に行動へつながっているのだろうか。
個人の危機は個人で責任をとるが、社会の危機は社会全体に不利益が起こるのでは。環境破壊を防ぐために何ができるのだろう。
環境配慮行動と環境にやさしい態度
普段、買い物に行く時は、エコバックを忘れなくなってきた。前よりは、ごみの量も減らせてる。洗濯や充電も夜間モードで済ませる意識もついてきた。自分なりの環境配慮行動。
環境配慮行動(行動)
環境保全のために起こす具体的な行動…環境配慮行動
具体的には公共交通機関の利用・緑化活動・エコドライブ・省エネ・ゴミの分別・節電・節水・他。
- 実行可能性評価(やろうとしていることができるか考えたり調べること)
- 便益費用評価(コスト 手間・労力と都合よく利益があること)
- 社会規範評価(家族・友人からの期待や圧力に左右され)
環境にやさしい態度(目標)
環境にやさしくしたい、貢献したい…環境にやさしい態度
- 環境リスク認知
- 責任帰属認知
- 対処有効性認知
環境リスク認知…この環境問題が及ぼす被害大。高確率で生命・生活を脅かす
責任帰属認知…問題が起きた、または拡大した責任は自分達
対処有効性認知…自分達で対処すれば問題解決可能
環境配慮行動と環境にやさしい行動は 別物である。
社会的ジレンマ
環境配慮行動を阻害する要因として最も影響が大きいのは便益費用となるようだ。
個人利益(私益)VS 社会全体・集団利益(共益)
私益を優先させるることにより、共益が損失しかねない。
どちらかに決めなくてはならない状況で、どちらにも決められない時…ジレンマ
- それぞれ協力・非協力を選択可能
- 個人視点だと協力するより非協力選択の方が利益大
- 集団構成全員が非協力選択は、個人利益小
ひとりひとりが「自分にとって合理的を選択」することで個人ではとるに足らないものでも多くの人が判断することで、最適にならず離れてしまう。
個人の非協力から一部の人に独占される一方、非協力がもたらす弊害が集団全体へ拡散してしまう。
そこに生まれるのがフリーライダー。この存在は公益を損するだけでなく、協力心を失わさせてしまい悪影響になる。この様子を「腐ったりんご効果」とも呼ぶ。
負担すべきコストを支払わず利益だけを得ようとする者、ただ乗り…フリーライダー
明日の100より今日の50
地球温暖化も資源枯渇も、長期的スパンの問題と捉えがちだ。ずっと先の未来になんらかの結果があると思ってしまうのだ。この現在志向バイアスが、アリとキリギリスに例えられるかも。
現在志向バイアス…目先の利益を優先させる傾向
心理的距離
環境問題は、時間的・空間的に遠い場所や対象だと、心理的に距離を感じてしまう。ここ日本に居ると地球の反対側で災害が起こったとしても 感じ取るのに時差がある。この距離感に左右され、判断・行動に影響が出るのだろう。
- 高次解釈(抽象的・本質的・目的志向的)
- 低次解釈(具体的・副次的・手段志向的)
行為 高次解釈 低次解釈 本を読む 知識獲得 目で活字を追う ドアに鍵かける 防犯 鍵穴に鍵を差し込む 歯を磨く 虫歯予防 口の中で歯ブラシを動かす 誘惑に逆らう 道徳的勇気 嫌だと言葉にする 食べる 栄養摂取 食べ物を噛んで飲む | |
抽象的理解と具体的行動は簡単にはつながらないようだ。
うながすために
ふたつの社会規範の働きがあるようだ。
記述的規範 (社会的証明)
(情報的影響)他者の判断・行動を拠り所にし、できるだけ正しい判断・行動をしたいという動機付けにより生じる同調。
多くの人はポイ捨てをしている。など、多くの他者が現実に何をしているか。情報的影響。不確かな状況・普通と違い目新しい状況は社会的証明の影響受けやすいといわれる。
命令的規範
(規則的影響)他者から受け入れられたり承認・賞賛を得て罰を避けたいといった動機付けにより生じる同調。
❶大抵の人はポイ捨てなどはダメだと思っている。多くの他者が何を良い悪いとみなしているのか。
❷うまくやるには命令的規範を焦点化すれば環境配慮行動へ視覚的フイードバックを与える。
同調 自分の意見・行動を他者に合わせること
と nudge
店長おすすめ!という文字を見かける。スーパー・コンビニ・飲食店で知らず知らず その商品やメニューを選んでしまう経験をしたことがある。これは、まさに店長のおすすめにナッジを効かされ、乗ってしまっていたのだ。
ナッジ 選択の自由を残しながら、完全に自由放任しないで 結果的、社会・個人に利益となる選択ができるよう 誘導する方法。そっと後押し。
まなび
環境問題は、社会・世界の危機でもあり、ひとりひとりの責任ある行動が大切になってくる。阻害要因に影響されながらも、ナッジをうまく利用し誰もが無理なく環境配慮行動ができる状況を整えることが必要なのだろう。