
【外観】
湯岐温泉の湯は、まるで肌の奥に静かに染み込んでいくようなやわらかさを宿しています。和泉屋旅館の湯船に身を沈めると、硫黄の香りではなく、ほんのりとした鉱石の気配が体を包み、筋肉のこわばりがひとつずつほどけていきます。湯治の宿と聞くと敷居が高い印象を持つかもしれませんが、ここは自然のままの源泉を“そのまま浴びる”だけで、無理なく体が整っていく不思議な場所です。古くから「静かに癒える湯」と呼ばれ、多くの旅人が長逗留を繰り返してきた理由は、派手さではなく、湯そのものの力にあります。山の懐に抱かれた小さな宿は、季節ごとに音を変える沢の流れと、朝晩の冷たい空気が心を深く落ち着かせてくれます。喧騒から離れ、ゆったりと自分の呼吸を取り戻したい時、この温泉は思い出としてそっと残る一軒になります。
[名称] 湯岐温泉 和泉屋旅館(福島県塙町)
・住所:福島県東白川郡塙町湯岐31
・電話番号:0247-43-0170
[アクセス]
・公共機関:JR水郡線「磐城塙駅」からタクシーで約20分
・車:東北自動車道「白河IC」から約60分
常磐自動車道「那珂IC」から約80分
・駐車場:無料駐車場あり
[料金]
1泊2食付き:12,000円前後〜(季節により変動)
自炊湯治プラン:要問い合わせ
日帰り入浴:500円程度

【フロント】
湯岐温泉の湯に浸かった瞬間、体の表面がふわりとほどけていくような独特の心地よさに気づきます。熱すぎず、ぬるすぎず、肌が吸い付くような滑らかさを保った源泉は、どこか懐かしい安心感を連れてきます。湯量は多くありませんが、自然のまま湧き出る温度で静かに湯船へ注がれ、その穏やかな湯ざわりこそが疲れた心をゆっくり整えてくれます。湯治の湯に求められるのは派手な効能より“続けて入ることで調子が整う感覚”ですが、この温泉はまさにその感覚がわかりやすく訪れる湯です。体の芯が緩むと呼吸が自然に深くなり、肩や背中のこわばりが溶けていくのがわかります。和泉屋旅館の浴室は大きくはありませんが、自噴源泉をそのまま使うため、湯の状態が常に清らかで、時間とともに湯の香りがわずかに変わるのもまた楽しみのひとつです。
宿の魅力は湯だけにとどまりません。木造を生かした落ち着いた空間は、どこか山の庵を訪れたような穏やかな静けさに包まれています。夜になると外の風がすっと冷たくなり、虫の声がゆっくりと鳴り始め、湯上がりの体に心地よい余韻を与えてくれます。湯治に慣れていない人でも気負わず過ごせるよう、部屋はすっきりとして使いやすく、布団の硬さも程よく整えられています。長期滞在の客も多い宿なので、日々の時間の流れが自然にゆるやかになり、気が付けば宿の空気に自分のペースが馴染んでいくのがわかります。
食事は派手さはありませんが、ひと皿ひと皿に宿の穏やかな性格がそのまま表れています。地元塙町で採れた山菜や野菜を中心に、土地の優しさを感じる味付けが丁寧に施され、体がすっと受け入れる軽さがあります。湯治の旅で大切なのは「食べた後の体の負担が少ないかどうか」ですが、和泉屋旅館の食事はまさにその理想を満たしていて、湯上がりの体にやさしく寄り添ってくれます。春には山菜の緑が鮮やかに香り、夏は涼やかな川魚が並び、秋にはきのこが深い旨味を運び、冬には根菜の甘さが温かく染み込んでいきます。季節ごとの変化を味わえることも、この宿が長く愛され続けている理由のひとつです。

【味噌麹漬け豚の陶板焼き】

シニア夕食 海鮮とお肉の蒸し物がメインのお料理です

朝食 鮭の麴付けとお野菜たっぷりの朝食です
湯岐温泉の周囲には観光地らしい賑わいはありませんが、その静けさこそが湯治の旅には欠かせない魅力です。散策路は四季によって風景を変え、山の香りを胸いっぱいに吸い込みながら歩くと、普段の生活で固くなっていた心が自然に解けていくのがわかります。宿に戻り湯に浸かると、脚の疲れが穏やかに抜け、眠りの質がふわりと変わります。自分の体と静かに向き合う時間が、この場所では無理なく確保できます。
湯岐温泉 和泉屋旅館は、派手な設備や新しい装飾とは無縁ですが、その素朴さが湯治の旅を深く味わわせてくれます。湯の力を素直に感じたい時、静かな山里で心身を整えたい時、そして日常の速さからそっと距離を置きたい時、この宿の湯はやさしく包み込んでくれます。帰る頃には、肌の奥に残る柔らかな温もりが、しばらくの間そっと寄り添ってくれるでしょう。

【客室一例-10畳①-洗面・トイレ付】

【客室一例-2間続き⑤-洗面・トイレ付】

#客室 和ベッドのお部屋でゆったりおくつろぎいただけます♪
湯のやさしさに身を任せる時間がほしいなら、湯岐温泉の静けさは心を柔らかく整えてくれます。自然湧出の湯に守られた宿で過ごすと、体の深い部分が静かにほどけていき、自分の呼吸が心地よく戻ってきます。忙しさから少し離れたい時、この宿の穏やかな空気は旅の目的をそっと導いてくれます。

#天文3年に開湯と言われる湯岐温泉の鹿の湯

#鹿の湯 湯船の近くに源泉が湧き出ているめずらしい温泉

【八幡の湯】

【アメニティー】
山里の湯に寄り添う時間は、心をそっと整えてくれます。旅先を探す日の小さな道しるべとして、思い出せるように残しておくと役立ちます。


